ゴートラとは、インドの伝統的な社会制度における「氏族集団」のことです。サンスクリット語で「牛小屋」を意味する言葉が語源とされ、古代から続く血縁関係に基づくグループを指します。
インドでは、人々はカースト制度(身分制度)によって分類されていますが、ゴートラはそれとは別の分類です。ヒンドゥー教の伝統では、人々は古代の聖者(リシ)を祖先とする複数のゴートラのいずれかに属するとされています。同じゴートラに属する人々は、血縁関係があると考えられています。
ゴートラが特に重要になるのは結婚の場面です。伝統的なヒンドゥー社会では、同じゴートラ同士の結婚は禁止されています。これは近親婚を避けるための仕組みで、遺伝的な多様性を保つ意味があると考えられています。現代でも、特に農村部や保守的な家庭では、この慣習が守られています。
ただし、都市部では徐々にこうした伝統にこだわらない若者も増えています。また、同じゴートラ同士が結婚したカップルが家族から反対されるといった社会問題も起きています。ゴートラは、インドの伝統文化と現代社会の変化が交わる、興味深い制度の一つです。

