インナーシティとは、大都市の中心部にある古い住宅地で、経済的に衰退し社会問題を抱えている地域のことを指します。日本語では「都心荒廃地域」や「都心衰退地域」と訳されることもあります。
この問題は、特にアメリカやイギリスの大都市で深刻化しました。20世紀半ば以降、経済的に余裕のある人々が郊外の新しい住宅地に移り住むようになりました。一方、都心部の古い地域には低所得者層が残され、建物の老朽化が進み、行政サービスも行き届かなくなっていったのです。
インナーシティでは、失業率の高さ、犯罪の増加、教育水準の低下、医療施設の不足など、様々な社会問題が複合的に発生します。住環境が悪化すると、さらに住民が流出するという悪循環に陥ります。
日本でも、東京や大阪などの大都市で、古い木造住宅が密集する地域が防災面や住環境の問題を抱えています。ただし、日本の場合は欧米ほど深刻なインナーシティ問題は発生していないとされています。
近年では、都心回帰の動きや再開発プロジェクトによって、一部のインナーシティ地域が活性化する例も見られます。古い建物をリノベーションして新しい価値を生み出す取り組みや、コミュニティ再生の試みなど、様々な解決策が模索されています。

