オートポイエーシスとは、生物学者のマトゥラーナとヴァレラが提唱した概念で、「自己創出」や「自己生成」を意味する言葉です。ギリシャ語の「auto(自己)」と「poiesis(制作・創出)」を組み合わせた造語で、生命システムが自分自身を作り出し、維持し続ける仕組みのことを指します。
分かりやすく言えば、生き物は外部から材料を取り入れながらも、自分自身で自分の体を作り、修復し、維持しているということです。例えば、私たちの細胞は常に新しい細胞に入れ替わっていますが、それでも「私」という個体は保たれています。これがオートポイエーシスの典型的な例です。
この概念の重要なポイントは、システムが「閉じている」ということです。生命システムは外部の環境と相互作用しながらも、自分自身の構造やルールに基づいて自律的に動いています。外部からの刺激は、システムが自分で解釈して反応するのであって、直接コントロールされるわけではありません。
オートポイエーシスの考え方は、生物学だけでなく、社会学や組織論、心理学などさまざまな分野に応用されています。企業や社会システムも、それぞれ独自のルールや文化を持ち、自己を維持しながら変化していくという見方ができるからです。複雑なシステムを理解するための重要な概念として、現在も多くの研究者に注目されています。

