偉人学派とは、歴史は偉大な個人の力によって動かされると考える歴史の見方のことです。英語では「Great Man Theory(偉人理論)」と呼ばれ、19世紀のイギリスの思想家トーマス・カーライルが提唱したことで知られています。
この考え方では、歴史の大きな転換点や重要な出来事は、特別な才能や強い意志を持った英雄的な指導者によって引き起こされると考えます。例えば、ナポレオンやアレクサンドロス大王のような軍事的天才、ガンジーやキング牧師のような社会運動の指導者が歴史を変えたという見方です。
この学派では、もしその偉人が存在しなければ、歴史は全く違う展開になっていたと考えます。つまり、歴史は一般の人々や社会の状況ではなく、卓越した個人の決断や行動によって形作られるというわけです。
しかし、この考え方には批判もあります。マルクス主義などの社会経済的な要因を重視する学派は、歴史は個人ではなく経済構造や階級闘争といった社会全体の力によって動くと主張します。また、偉人だけに注目すると、一般の人々の役割や社会的背景が見えなくなるという問題も指摘されています。現代の歴史学では、個人の役割と社会的条件の両方をバランスよく考えることが大切だとされています。

