高市早苗首相は、国家安全保障戦略など安全保障関連3文書を2026年中に前倒し改定する方針を表明しています。米国とイスラエルによるイラン攻撃を受けて中東情勢が緊迫するなか、東アジアへの米軍関与が低下することへの懸念が与党内で高まり、防衛力強化の議論が加速しています。
目次
安保3文書とは何か
安全保障関連3文書とは、「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の3つを指します。2022年12月に岸田政権が策定したもので、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有や防衛費のGDP比2%への引き上げなど、戦後の安全保障政策を大きく転換する内容でした。
高市首相はこれをさらに踏み込んだ内容に改定する方針で、中国の軍事力増強・北朝鮮の核ミサイル開発・ロシアの脅威に加え、中東情勢の変化も改定の背景として挙げています。
中東情勢が与える影響
米国がイラン攻撃で中東にリソースを集中させる中、与党内では「東アジアにおける米軍の抑止力が低下するのではないか」という懸念が強まっています。「自らの国を自らの手で守る覚悟なき国を誰も助けてくれない」と首相自身も発言しており、自主防衛能力の強化が急務との認識が広がっています。
防衛費のさらなる積み増し
現行計画では2023〜2027年度の5年間で43兆円の防衛費が計上されていますが、今回の改定に合わせてさらなる積み増しが検討されています。GDP比2%以上への引き上げも視野に入っており、財源をどう確保するかが今後の焦点となります。
武器輸出緩和には慎重論も
議論の中で浮上しているのが、防衛装備移転3原則の運用指針の見直しです。現行の「5類型」を撤廃し、輸出できる武器の範囲を広げる案が与党内で検討されていますが、「日本製の武器が紛争地で使われるリスクがある」として慎重論も根強く、調整が続いています。
参考: ロイター、日本経済新聞(2026年3月3日)

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