埼玉県内の小児病院で、死亡した患者の体内から本来投与されるはずのない抗がん剤「ビンクリスチン」が検出されていたことが明らかになった。病院側は薬剤の取り違えがあった可能性を認めており、医療安全上の重大事案として調査を進めている。
ビンクリスチンは白血病などの治療に使用される抗がん剤で、強い副作用があることで知られる。本来この薬を投与する予定ではなかった患者に誤って投与されたとみられ、それが死亡につながった可能性も否定できない状況だ。
小児病院での医療事故は、患者が子どもであるだけに社会的な関心も高い。薬剤の取り違えは「起きてはならない医療ミス」の典型例であり、複数のチェック体制をすり抜けて発生したことに衝撃が広がっている。
医療安全の専門家は「抗がん剤は特に厳重な管理が求められる薬剤。なぜチェック機能が働かなかったのか、徹底的な原因究明が必要だ」と指摘する。病院では通常、医師の処方、薬剤師の調剤、看護師の投与と、複数段階でのダブルチェックが行われるはずだが、今回はそのすべてをすり抜けたことになる。
SNS上では「子どもを預ける親の気持ちを考えると…」「信じられない」「病院を信じていたのに」といった声が相次いでいる。同様の医療ミスは全国の病院で過去にも報告されており、再発防止策の実効性が改めて問われている。
病院側は遺族に謝罪し、詳細な調査結果を公表する方針を示している。厚生労働省も事案を重く見ており、全国の医療機関に対して薬剤管理の再徹底を求める通知を出す方向で検討している。小児医療の信頼が揺らぐ事態に、医療界全体が危機感を強めている。

