本来は海外での情報活動を任務とする自衛隊情報部隊が、明確な法的根拠なく国内の日本人を対象にした人的情報収集(ヒューミント)を実施していた。対象は大学教授ら数千人に上る可能性があるとされている。
最も問題視されているのは、収集された情報の内容だ。個人の思想に深く立ち入った「愛国心」の調査から、プライバシーの最奥部である「性的嗜好」「異性関係」まで、本来なら国家が触れてはならない領域まで調べられていた。NPO法人代表らが情報公開請求で明かした実態は、民主主義国家における監視権力の暴走そのものだ。
シビリアンコントロール(文民統制)の根幹が揺らぐ事態。軍事部隊が国内で市民を無制限に監視する体制が、いつの間にか構築されていたことになる。法的根拠がない以上、この調査は違法性が極めて濃厚だ。なぜこんなことが許されているのか、責任者は誰なのか。国会は本気で追及する気があるのか。

