2019年8月、栃木県で51歳の男性が自ら命を絶った。わずか4カ月前、勤めていた葬儀会社から経費をだまし取った「詐欺犯」だと一方的に決めつけられ、懲戒解雇されていた。
遺族の怒りは収まらない。事実確認も本人からの聞き取りも不十分なまま、企業側の疑いだけで人生を奪われたのだ。本当に詐欺行為があったのか、それとも経理の誤解や手続きの齟齬だったのか、真実は闇の中のままだ。
懲戒解雇という最も重い処分が、冤罪によって下されたのではないか——その疑念は拭えない。解雇の是非判断に至る企業内調査のプロセスや、本人への通知・弁明の機会がどの程度あったのか、不透明さが指摘される。
労働者の生死に関わる処分が、これほどまでに軽く扱われてよいのか。企業による懲戒権の濫用を防ぐ仕組みは、いま求められていないだろうか。

