バスや鉄道の減便、タクシー不足が続く「交通空白」が、単なる利便性の問題ではなく、地方経済全体を蝕む深刻な課題として浮上している。
国土交通省の検討で示された試算によると、この交通空白がもたらす経済・社会的損失は年間約10兆円に及ぶ可能性があるという。高齢化が進む地方では、移動手段を失うことは就業機会の喪失、医療へのアクセス低下、地域コミュニティの衰退に直結する。働き手の確保さえ困難になり、地方産業全体が負のスパイラルに陥る構造だ。
運転手不足とドライバーの低待遇、採算性の悪化という悪循環は、企業努力だけでは解決しない。バス事業者の廃業、鉄道路線の廃止が相次ぐなか、国や自治体による抜本的な支援・制度設計なしに、地方交通の再生はあり得ない状況になっている。
10兆円という数字は、一体誰が負担することになるのか。地方に住み続けることの覚悟を問う岐路に、日本は立たされているのではないか。

