農水省が国産「日本茶」の地理的表示(GI)を国際登録制度で保護する手続きを進める方針を明らかにした。これまで「日本茶」という表記は国内で使用できる商品が限定されていたが、今回の登録により海外でも日本産以外の茶が「日本茶」と称するのを法的に阻止できるようになる。
背景にあるのは、中国やインドなど海外の茶産地による「日本茶」名義の不正使用の急増だ。実際、アジア市場では中国産や現地産の茶葉が「Made in Japan」「日本ブランド」を装って販売されている実態が報告されている。日本茶の国際競争力は高いが、偽造品との区別がつかない消費者も多く、日本茶ブランドの信用失墜が危機水準に達していた。
登録が実現すれば、玉露・抹茶・煎茶といった日本を代表する茶種だけでなく、「日本茶」という括弧的な表記自体が日本産証明として機能する。経済効果としても、茶葉輸出額(現在約300億円)の大幅な伸び代が見込まれている。
ただし、課題も残る。国際登録には時間がかかり、その間も偽造品は流通し続ける可能性がある。また登録後、「日本茶」の定義をどこまで厳格に運用するかで、国内産地間の利害調整も必要になる。日本の茶産業は、名義保護だけで復活するわけではなく、品質維持とブランディングの両輪で初めて海外市場での地位を奪還できるのではないか。

