2024年の春闘結果から浮き彫りになった深刻な構図がある。大手企業の賃上げが加速する一方で、中小企業はその恩恵をほぼ受けられず、賃金格差が過去最高水準まで広がっているのだ。
帝国データバンクの調査によれば、大手企業(資本金10億円以上)の平均賃上げ率は5.2%に達したのに対し、中小企業(資本金1000万~1億円)は2.1%に留まった。その差は実に2.5倍。この格差は、経営体力の違いだけでは説明できない構造的な問題を示唆している。
背景にあるのは、大手企業が過去最高益を更新する中、中小企業は原材料費高騰やエネルギー価格の上昇によって利益幅が圧迫されている現実だ。大手からの下請け価格据え置きも続き、中小企業経営者の間では「われわれだけが置き去りにされている」という焦燥感が広がっている。
労働者の側からも不満は募る。同じ仕事量でも勤務先の規模で賃金が大きく左右される構図は、労働市場全体の公正性を損なうものではないだろうか。デフレ脱却を掲げる政府の経済政策が、実は一部大手企業の利益優先に偏していないか、改めて問われる局面に来ている。

