日本の包丁が訪日観光客の間で異常なほどの人気を集めている。岐阜・関や兵庫・播州など伝統刃物産地の売上が急増し、在庫すら追いつかない状況だという。
海外からの購買層は「これ以上に切れ味のいい刃物は世界にない」と日本製の精度に驚嘆。数万円から十数万円の高級包丁も次々と買われていく。外国人客からすれば、日本の職人技術は『世界一』の地位にあり、その証明が刃物なのだ。
しかし産地側は歓喜ばかりではない。注文殺到で職人の手作業が限界に達し、納期延長やキャンセル待ちの状態。安定供給ができず、むしろ機械化や大量生産への圧力が高まっている。
日本の『モノづくり』が海外で評価される一方で、職人技術そのものが急速に消滅する——その矛盾を象徴する現象だ。訪日客の爆買いは、果たして産地を救うのか、それとも伝統を破壊するのか。

